コラム

2012年11月18日 (日)

ツアー登山などの見極め

先日、クラブツーリズムのツアー登山のガイドをした時に、やまやの皆様に出したメールを下記に紹介します。ここで、ツアー登山の危険と見極めする基準が決まってくるように思われますので、皆様、是非ご一読いただけるとありがたく思います。また、一人でも多くの方から、コメントはメールでの返信などをいただきたいですね。

 

<以下、メール文>

 

11/1011までの2日間、私の自然の先生からのたっての願いで、クラブツーリズム(以下、クラツーと称する)のツアーガイドに行ってきました。

私は以前、ずっとツアーガイドをしていた関係上、ツアーガイドというものがどういうものか、添乗員との関係、判断はどちらがするのか?

ということは慣れていたのですが、久しぶりにやってみてどのような感想を持ったか・・?ということを、お話しします。

 

先日からマスコミの取材を受け、今まで何社か、旅行会社と契約し、その中でもアミューズトラベル(以下、アミューズに略す)に関しての業務内容などを思い出している内に、私がいままで言ってきたことや、やってきたことが間違いなかったこと、が確認できましたし、今回、二度とやらないと思っていたツアーガイドを体験して、改めて思ったことがあります。

 

それは、今回お客さんの人数が12名という人数に対し、ガイドと添乗員が2名ついたこと。その添乗員が山をしっかり把握し、全体を管理できる添乗員だったこと、山での判断を全てガイドに任せられたこと、で、このツアーにおける体制というのは、「登山をしても良いツアー」であったと判断します。それはクラツーがそうだと言っているのではありません。クラツーの中でも危険なものを感じる山行はいままでいくつも出会っていますし、アミューズの中でも、しっかりしたものを感じることはあります。特に最近のアミューズでは、トムラウシ以降において、危機意識や山岳気象に関しては、細心の注意を払い、実行してきた・・それ故に、お客さんも戻ってきた・・という話も聞いております。旅行会社が云々の問題ではないのです。その一つずつのツアーの内容なのです。それをきちんと管理できているかどうか・・です。その問題点を下記に記します。

 

問題は大きく分けて3つあります。

 

一つは、旅行会社自身の問題。私が勤務していたころのアミューズでは、全く話しにならないのですが、危機意識や、お客さんの安全を重視し、企画をしているか?きちんと当日行くガイドと相談して決めているか?その報酬をガイドに与えているか?ということがあります。

以前のアミューズの様に、2週間ほど前にどの山行にどのガイドが行くかを決める・・ということも論外です。

これができていなければ、まず第一段階として、失格です。

 

次に、現地での判断を誰に任せているか?という問題。これは、ガイドが山のことを一番良く知っているのですから、当然、山のことを知らない会社がとやかく言う問題ではないのです。ただ、その山域を知らない人間をガイドにすることは、全く持ってあり得ない話です。(トムラウシの時がそうでしたね)これは山岳ガイド協会の認定を受けていれば大丈夫・・という問題でもありません。認定ガイドでも山を知らないガイドはわんさといますので、その辺は、山岳ガイド協会の体面上、公にはきちんと言わないだけだと思います。登る山を知り、適切な判断をきちんとできるガイドを雇う、ということが一つの指標であり、ツアー登山の場合、旅行会社は、もし、仮に悪天候などで計画が遂行されなくてもガイドに対する報酬はきちんと支払うことを約束しなければなりません。また、ガイドも行けるか行けないかの判断もきちんとできる人でなくてはなりません。

 

次にお客さん側の問題です。これは必ずしもそうでなければ行けないということは無いのですが、上記の2つのことがお客さんがきちんと理解できているかどうか?旅行会社が主催する募集型の山行は、どういった方が来られるかわかりません。その方達がきちんと上記2つのルールと、行く山のことを把握できているか?山に入るためには、お客さん側にも「付いていったらそれでいい」というのではなく、そのスキルを身に付ける「責任」があると思います。そうではない方は、観光旅行に留めておいて欲しいのです。決して登山に手を出してはいけないと思います。

 

お客さん自身が、このツアーは大丈夫かどうか?どんなガイドが案内するのか?人数はきちんと安全が守られる人数か?ガイドの内、何人がその山を知っているのか?エスケープルートは確保されているか?ビバークや停滞するような事象が起きた時に、予備日はきちんと確保できているか?そのようなことをお客さん自身が判断し、考えるのです。

 

上記3つを、全ての山行で完璧にこなして、初めてその旅行会社は登山ツアーを組める・・そのような「法律」にも似た規制を作らなければ、まだまだ山岳遭難は増え続けると思います。東日本大震災の時にもお話しましたが、皆さんは常に危機意識を持ち、きちんと自分の身は自分で守る、ということをしなければ、何かが起こってからでは遅いのです。

 

旅行会社などのツアーに行っておられている方は、次のツアーは大丈夫ですか? 上記のようなことを考えておられていますか?遭難するのは、次はあなたかもしれないんですよ?

 

昨日の山行はクラツーの契約している山岳予報士に話しを聞くなど、天気に関しては、完璧なまでの解析をクラツー側はしておりました。

私もその天気情報を頼りに、前日に添乗ガイドと打ち合わせ。エスケープルートや、いつの時点でその判断をするか・・などの、細部にわたっての確認事項を入念にしました。いつもは、私一人だけでしていることですが、その辺はさすが大手の旅行会社です。どんどん情報は提供してくれます。

当初・・前日の夜ですが・・話を聞いた時点で、計画を変更しようと思いました。これは、東京のガイドが下見をしにきた・・ということで作り上げた計画だったのですが、(お客さんのレベルにもよりますが)「無理なんじゃないかな・・」と思った次第です。

 

昼過ぎにびわ湖バレイに着いて、そこからゴンドラで上がり、お弁当を食べた後、蓬莱山~小女郎ヶ池まで行き、引き返し、そこから金比羅峠経由で、歩いて下山、下のゴンドラ乗り場に帰る行程、これでは陽がくれる・・と思い、でもひょっとすると、お客さんがめっちゃ早く歩ける人かもしれない・・と思い、少し早めに歩き(早めといっても私がいつも先に歩いて、待っているくらいの歩調です)この歩調なら、その行程は大丈夫かもしれないと・・結果は、やはりブーイング!!早すぎる!というわけですね。そりゃそうでしょう、この行程で、陽が暮れる前に下山するには、これくらいの歩調で歩いても遅いかもしれない・・・蓬莱山頂で、事前に作っておいた私の2案を提唱、「このまま小女郎まで行って、帰りは下山道を使わず、ゴンドラで下りる」または「小女郎まで行かず、今からすぐに下山する」かどちらかに意見を聞き、決めました。小女郎まで行かず下山することに決まり、下山もゆっくりペースで歩き、ゴンドラに着いたら午後4時でした。小女郎まで行って下山道を使ったら間違いなくカンテラが必要となっていたでしょう。

 2日目は、当初の予定では、イン谷~大山口~ダケ道~北比良峠~イブルキのコバ~武奈ヶ岳~西南稜~御殿山~坊村のいわゆる、比良横断王道コースです。このコースは非常に一般的に見えて、実は登り返しのある非常にしんどいコースなのです。やまやでは、よく下山に使うコースですね。それを組んでいたものですから、初めからルートを変更、イン谷~青ガレ~金糞峠~奥深源流~コヤマノ中尾根~コヤマノ岳~武奈ヶ岳~西南稜~御殿山~坊村です。エスケープルートは、いくらでも取れる比較的安全なコースです。朝615分に近江舞子の宿を出発。イン谷から登りだしが、7時・・青ガレを雨が降る前に通過したかったのですが、うまくいきました。雨は朝の内はまだもつ・・ということでしたが、9時半くらいから本降りが続き、その後、ますます風雨はひどくなる・・ということです。で、結局、雨は金糞峠まで持ってくれました。嬉しい!ほぼ予定時間で、ここまで来れれば、後は危険箇所がそんなに無いから、何とかなると思い、奥深源流に下りたところで、ポツポツ来だす・・全員フル装備!という添乗員のかけ声で、全員着替え出す・・その前に私から、雨具を雨蓋に入れておくように指示しておいたのですが・・よしいいぞいいぞ、みんな着替えが早いぞ!スカっと着替えて、いざ、出発!コヤマノ中尾根の取り付き口が分からず、若者3人組が右往左往しています。その方に先を譲られてクラツー部隊出陣です。中腹まで来たときにここから先は分かるから・・と先に行ってもらいました。予想通り風雨が強くなり、でも樹林帯のコヤマノ岳はまだしのげます。また気温もそんなに下がらず、10度くらいはあったかも・・それで、風が風速20mくらい・・ばんばん吹いています。

 コヤマノ岳に着いた時に、武奈ヶ岳には行かないことを告げました。武奈ヶ岳は、笹原でここよりももっと強い風が吹いている。だから西南稜を歩かせることがとても危険・・という判断をしたことを告げました。

みんながどんな表情をするか・・楽しみでしたが・・「ここまで来て・・」と、文句を言う人は一人もいず、そればかりか安堵の表情を浮かべる方が多かったですね。エスケープルートの中峠から口深源流、ワサビ峠を通って帰りました。

コヤマノ岳を出発しようとしたところ、抜かしていったはずの若者がきました。どうやら、私達を抜いた後、道に迷っていたみたいです。落ち葉だらけで、道がほとんど見えていません。広い尾根では危ないですね。このまま武奈を目指すということ・・注意を促し、私達は出発

 口深源流の風の当たらないところで、お昼ご飯を食べている時にその3人組が下りてきました。風が強くとてもじゃないが、武奈には登れない・・どうやら、私の判断は正しかったようです。

 無理に行こうと思えば行けます。私もせっかく東京から出てきていただいて、登らせてあげたい、に決まっています。でも、その山がどういう山であるか?一回荒れればどのようになるか?ということを、ガイドは知っているのです。知っていなければガイドはできません。

それを知らず無理して行けば、ひょっとすれば私達も万里の長城やトムラウシと同じ目に遭っていたのかもしれないのです。

遭難するかしないかの瀬戸際は、今回はコヤマノ岳での私一人の判断と事前に打ち合わせていたクラツー側のもって行き方・・があります。

それは、何があってもお客さんを守るという意識。会社が行けと言っても、私が無理だと判断すれば絶対に行きません。その人間に判断を任せてもらえる・・という会社であったこと・・これが生死の境といっても過言ではないのです。

 かくして、坊村に降り立った12名のお客さんは、本当に感謝の気持ちで私を受け入れてくれました。みんな笑顔で「ありがとうございました」と拍手までいただきました。最後に、「皆さんの家族は絶対に武奈ヶ岳に登頂して帰ってきてね」とは言いません、「絶対に無事で帰ってきてね」と言うのですから・・といつもの決めぜりふで、一行とお別れしました。

 ツアー登山の割には、雨模様の空とは裏腹に心はスッキリと晴れていました。「登山は立ち向かう勇気と撤退する勇気が必要です」そのどちらも充実させた登山でした。

 やまやの皆様は、もう一度、万里の長城の遭難のことと、ご自身の危機管理に関して、考えてみてください。

以上

 あ・・ちなみに、12名のお客さん・・60代後半が10名様、70代が2名様でした・・うわ~~~!めっちゃ元気~~!

 やまや山形 山形昌宏

 

2012年11月 5日 (月)

万里の長城 遭難事故に関して

本日、朝にフジテレビから連絡があり、万里の長城で遭難があり、3名の方が亡くなられたこと(その時点では、2名死亡、1名行方不明)を知りました。それが、昔私が請負で勤めておりましたアミューズトラベルの企画と知って、しばし呆然としていました。

今回、亡くなられた3名の方には、心よりご冥福をお祈りします。
3年前、このような悲惨な遭難事故は、二度と起こしたくなく、元アミューズトラベルのガイドとして、シンポジウムなどで内部告発的に真実を訴えたのですが、それが解決しないうちに、また、今度は海外で同じような山岳気象遭難事故が起こってしまいました。なんとも、当時、私が訴えていたことが、活かされていないばかりか、何の教訓にもなっていなかったことに、自分の力の無さが悔やまれます。と同時に、アミューズトラベルに関して呆れ、怒りの気持ちもこみ上げてきます。
なぜ・・なぜ、このような事故が続くのでしょうか?

アミューズトラベルは、私が勤めていました6年ほど前で創業15年を迎える、比較的若い会社です。当時のことは・・純粋に、登山から旅行会社に入った私の中では「登山ツアーというのは非常に危ない形態の登山」というイメージがあったので、旅行から登山に入ったアミューズの仕事をするにあたり、会社相手に、安全面に関して、たくさんの苦言をしたことを覚えています。結局、そのことで、会社にとって、私はマイナス因子になり、クビになったわけですが・・今では、クビになったことを感謝しています。なぜなら、そのことがあったから、私は、純粋な登山者の一人として本当に安全な登山というものを考えることになり、仕事としても成功し、現在があるのですから・・

トムラウシ遭難の後、このことを教訓に危険意識が徹底されている、安全面に関しては十分な配慮がなされている・・とも思っていたのですが、、、

トムラウシと全く同じ形での、今回の万里の長城の遭難・・悲しくて悔しくて・・いたたまれない気持ちです。

いったい、いつになったらこのような悲惨な遭難事故が無くなるのか?

ツアー会社が、今回の事故に関しても、もし「気象が悪くなったので、仕方のないこと、運が悪かった」などと考えているなら、いつまでたっても遭難事故は無くならないでしょう。アミューズトラベルだけではなく、他の旅行会社も肝に命じて、もう一度、襟を正していただきたいものです。

登山は旅行ではありません。
自然を相手にした、命がけのスポーツです。
その世界は素晴らしく、私達を迎えてくれると共に、大自然の懐の中は決して暖かいことばかりでは無いということを忘れてはなりません。
意識の低い者、体力の無いものに関しては、容赦なく牙をむき、その命をいとも簡単に奪います。

安全面に関して、取りすぎるということはありません。
ただ、登山は立ち向かう勇気と撤退する勇気が必要です。
行けたのにも関わらず、行かなかったり、行けなかったのに無理して行ったり・・それは、一般の登山においてはリーダーがパーティ全体の意思を代表して決めることですが、登山ツアーの場合は、その主催の旅行会社、またはそれを請け負ったガイドにその判断が一任されます。そんな中で、ガイドの判断を鈍らせるものが、いわゆる「商業主義」っていうやつです。ここで引き返せば、お金が入らない・・とか、会社に損失を与えてしまえば、次回から仕事が回ってこない・・とか・・お客さん(パーティ全体)の安全面とは、かき離れた「商売だから沸き起こる危険な意識」が起こってきます。それは、旅行会社だけではなく私たちガイドそのものにも共通して言えることですが、その各々のガイドがどのような意識で、危機意識を持って、安全面に考慮して山行を遂行するか・・ということに尽きるのではないでしょうか?

要は、ガイド一人づつ、それが違っていて、そこに来る人(今の場合はお客さん)はその資質をそのガイドまたはその旅行会社が、どのように持っているかどうかを判断しなければならないと思います。ガイドは自分はパーティ全体の命を預かっている・・ということも肝に命じておかなければなりません。

各ガイドさんへ・・そんな、仕事を皆さんはされているのですよ!わかったはりますか?決して、「好き」でできる簡単な仕事ではないんですよ。

私、山形もまだまだ半人前ではありますが、お客さんへの意識に関しては、仕事とは離れた意識で接したいと、常々思っております。
ガイドは「個人ガイドだけでは・・生活ができない」という、いわゆる登山業界の常識にも似たことを、根本から覆そうとしている訳です。
実際、現在はそれのみで、生活ができております。
旅行会社に半分くらいは委託する方が楽に決まっています。でも、私はその方向には背を向いてきました。その私の理念をこれからも通していくべく、少人数で安全面を最大に考慮した素晴らしい山行作りに日夜時間をさいていきます。現在、私を支えていただいている「やまや」の皆様には本当に心より感謝します。ありがとうございます。

登山ツアーを企画している旅行会社の皆さん!
「明日は我が身」かもしれません。
是非、これを機会にもう一度、御社の安全面に対する意識を整理してみてはいかがでしょうか?今、これでいい、と思っていることは、「もっと、最適な方法があるのではないか」と常に自問自答して、甘える自分(会社)と戦っていくことです。
それが、できなければ即刻登山ツアーからは身を引くべきだと思います。

人生は登山と同じです。
手を抜けば、直ちにそのリバウンドはやってきます。
どうか、素晴らしい登山を心がけ、しっかりと大地の上に根を張って行きましょう。
必ずきれいな花が咲くことでしょうね。

いつもお客さんの前でお話しすることですが・・
登山に行く方の家族は、決して「必ず登頂して帰ってきてください」とは言いません。「必ず、無事で帰ってきてください」と言うのですから・・

2011年11月 1日 (火)

百名山の意義

先日、南アルプスにいってきた時に、芦安の「南アルプス山岳館」というところにいってきました。
その時に、ほど近い「茅ヶ岳」で宿題を残し、帰らぬ人となった、深田久弥氏の没後40年展として「南アルプスの日本百名山」という特別展が開いていました。
前から、この山岳館に興味があったので、一度は行っておこうと思っていたのですが、そこで、偶然にもこの日本百名山を生み出した、深田久弥氏がどのようにしてこの百名山を選定したか・・?何を根拠にしていたか?ということを勉強することができました。

先日のブログにてコメントいただいた内容を見ていて、ふとこのような記事を書いてみたくなりました。

Img_0422 特別展の看板

今や、中高年の憧れの百名山ではありますが、今の世の中で、現実に求められているものとはかき離れた世界で、深田氏はこの百名山を選定したことを知ることができました。
特別展の挨拶文の行末に下記のようなことが書かれていました。

「深田は、簡潔で秀逸な文章で山々を擬人化して表現した「日本百名山」を著して、山岳文学の分野を確立し「独創性を持った個性的な山登り」を強く推奨し、実践しました。しかし、1971年3月21日「宿題の山・茅ヶ岳」を登山中、山頂を目前にして倒れ、帰らぬ人となりました。黄泉の国から南アルプスを初め、甲州の山々を見つめながら、その後、登山界で起きている「百名山ブーム」をどんな気持ちで見つめていることでしょう。」

また、深田氏の百名山を選ぶ基準として次のようなことを置いたと記されていいます。

(1)誰が見ても立派な山だと感嘆し、厳しさか強さや美しさか、何か人を打ってくるものが無ければならない。人間にも人品の高下があるように、山にもそれがある。人格ならぬ山格のある山でなけ   ればならない。
(2)歴史のある山。昔から人間と深いかかわりを持った山。人々が朝夕仰いで敬い、その頂きに祠をまつるような山は名山だが、観光地となり通俗化した山は選定外
(3)芸術作品と同様に強烈な個性のある山であること。付加条件として、おおよそ、1500m以上とした。山高きをもって尊しとせずだが、ある程度の高さがなくてはならない。

Img_8513 深田氏終焉の山「茅ヶ岳」八ヶ岳より

この文を読んで、皆様はいかが感じられたでしょうか?なぜ、百名山を目指すのですか?
現在の百名山ブームの中で、深田氏が感じて欲しいことを本当に感じ、感謝の気持ちで一つずつの山を登らしていただけるならば、それはきっと皆様の心に深く深く残ると思います。ただ、数を求めるのでは無く、百名山に登る意義をしっかりと理解して登るとすると、その登山はとっても有意義なものになります。現在では、それでも飽きたらず、200名山や300名山、各地のまたは各県の百名山なども出ている始末です。

Img_0421 南アルプス山岳館

ガイドである私がいうのも何なのですが、商品化されたような登山にはいまいち魅力を感じません。
山に登るということは、それぞれがそれぞれに深田氏が感じたような品格と気概を持って望むものだと感じます。コメントにもあったように、やまやの皆様は少なくとも「コレクター」にはならないでいただきたい。「百名山」を目指すなら、その1つずつに意義を感じ、強い思いで登って欲しい・・それでこそ、百名山、ならずも山に登る価値があるのだと・・私はそう思っています。

2011年9月14日 (水)

行った方がマシ?な山行、行かなかった方が良かった山行?

今日は、いっぱい書いてしまいます。
夏場になかなか時間が取れる時が無かったもので、今日はずっとパソコンの前にいます。
このブログを見られている、皆さんに今から簡単なクイズを出します。
皆さんがそれについてどう思われるかを、できましたらお返事いただければありがたく思います。

<クイズ>
ある年の夏、北アルプスの槍ヶ岳に登りたいという方を集めて、山行を企画しました。
合計で5名の参加者がおられ、そのうち、しばらくお会いしていない方が3名かおられました。ガイドである私はその方の足前を把握しなければ山行自体にパーティそのものに危険を及ぼす可能性があると理解し、その方にそれまでの山行に一度来て頂くこと、そして、それまでにトレーニングをしていただくことをお勧めしました。
山行当日までに、足前を見せていただくべく日帰りの山行などに参加された方は2名、その時点では、問題無いレベルだと判断し、参加を許可しました。あと3名の内、しばらくお会いしていない方1名は、どうしても時間がとれない、ということで、日頃のトレーニングを欠かしていない・・というご本人の言葉を信じ、参加を許可しました。
山行当日・・私の予想通りの展開・・といいますか、足前を見て許可したはずの方含め、その方と忙しく足前を見させていただくこと無く参加された方2名がバテてしまい、結局、槍沢ロッジに2泊することになり、槍の頂上は諦め、下山しました。
下山後、非常に後味の悪いものが残り、パーティの解散に陥ったわけですが・・
ここで、皆さんに考えてもらいたい。
もし、皆さんが私のようにガイドとして、仕事で山に行っている場合、このようなことに出会った場合、皆様ならどうされますか?安全第一の基本原則は守るとしまして、皆様がガイドならば、参加認証の段階も含め、どうされるかを考えていただきたく想います。

長くなりましたが、それがクイズです。
答えていただいた方には、豪華賞品・・とまでは言わずに、私のガイドとしての率直な気持ちをお伝えします。最近、増え続けている「山を全く知らなくても山に登れている」危険な登山者を無くすためにも、このことは、皆さんと共に考えたい課題だと思っています。
どうぞ、ご協力の程、よろしくお願いします。
この質問はやまやのメンバー以外にも、広くご意見を聞かせえていただきたく思います。いつでもどなたでもけっこうです、ご意見をお聞かせください。かなり後になると思いますが、まとめて結果と所感を述べさせていただきます。

山登り、是人生なり!

今年は自然災害が多い年ですね。
地球温暖化がさけばれてから、しばらく経ちますが、今や全世界規模で自然災害が起こっています。
また、日本でも、3月の東北大震災や先日の台風など、かつて例をみない規模での災害が起こっています。

私たち人間も、自然物の一つとして、自然を敬愛し、自然を守り、自然と共生していかなければなりません。政治の世界でも、菅内閣から野田内閣に変わり、また新たな変革が期待されています。
最近の日本を見ていると、今まで人間たちが便利さを追求するあまり、自分勝手な行動を取り、そのツケが巡ってきて、自然は必死に元に戻そうと努力する結果として、人間たちに都合の悪い、自然災害が起こっているようにも見えます。しかし、人間達も自然の一部として考えるならば、これからは特に一人一人が全体のことを考えていかなければならず、リスクに真っ向から立ち向かい、備え、努力しなければならないと思います。実際、被災された方々は、本当に全てのものを失い、どん底から這い上がろうと努力しています。自然が元に戻そうと努力するように、人間もみんな努力しています。

リスクに立ち向かい、備え、努力する姿は、山登りそのものです。僕は努力することを無くせば、成長することもできないと思っています。昨日までは南アルプスに登っていました。そこでもまた数々の感動を得、学ぶべきものも多く得ることができました。辛くてもしんどくても前を向く力がそこにあります。この後にその時のことを記します。

山登り、是即ち、人生なり。同じようなブログのタイトルをお持ちの方がおられますが、共感しあっていきたいと思います。大震災で被災された皆様、僕の大好きは十津川村で被災された皆様、心から応援しています。がんばってください。僕もがんばります。

2011年8月25日 (木)

最初のブログ

はじめまして!!やまや山形といいます。
読んで字のごとく・・といってもわかりませんよね・・やまや、すなわち「山屋」です。
僕は個人で登山ガイドをしています。
今の登山ブームに乗って、主に中高年層のお客さんが多いんですが、若い時から登山をされている方よりも中高年になって初めて登山を始めた、という方の方が多いのです。
皆さんに「登山を始めたきっかけは?」と聞くと、けっこう「誰でもできるから」とか、「歩くということだけで、専門の技術や知識はいらないから」とか、もちろん「自然に親しみたい」や「満足感がたまらない」なんてのもあるけど、山登りをけっこう「簡単」なイメージで始められる方が多いんですよね〜、でも、登山はそんなに甘くない!!というのが、本音ですが、そんな方にも、新たに始められる方にも、少しでも本当の登山というものを・・本当の楽しさも厳しさもわかっていただきたいな〜・・と思っていたら、いつのまにかガイドになっていた、という次第です。まあ、前置きはこんなものにして、これから、僕の行った山行や、山の楽しみ方などを混じえて、このブログでたくさんのことを伝えていきたいと思いますので、どうぞ、よろしゅうお頼み申します。
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